「月下美人」
月下美人の花の生息地は北アメリカの砂漠地帯から南アメリカ、そしてハワイ。勿論、日本にも。
世界に幅広く分布します。
ハワイでは6月の中後半〜9月にかけて、時に10月の初句頃まで月下美人の花を観る事が出来ますよ。
月下の美人と書いて月下美人ですが、月の花と書いて月花美人と言う漢字表現もあるのをご存知でしたでしょうか。
名前の通り月夜の明かりがふわりと灯る頃、夕方〜夜に咲き出します。ですが、美しく開花して大輪の花を咲かせたかと思うと翌朝、太陽が高くなる頃にはすうっと萎んでしまうのです。
一夜限りの花。
この事から「真夏の夜の夢」等と表現されることもしばしば。
1日を待たずにしてその時を終え、開花時間の短さから”覚めてしまった夢”のような儚さを感じるのに、花はそんな事を意図ともせず静かに、そして気品に満ち溢れ優雅に凛と咲き誇ります。
静寂な時間の流れを持て余す事なく闇を漂い、密やかに軽やかにそっと虫たちを呼び寄せて、夜の帷と月夜に浮かぶ。
このミスマッチがまたミステリアスでもありロマンティックでも有る魅力の一つなのでしょう。
真っ白いコートに、ふわふわのマフを纏ったような美しい容姿をした花は観る人を魅了します。
日本ではまだまだあまり一般的によく見掛けると言う事は無く、見掛けてもその殆どは地植えではなく鉢植えでしょうか。
ハワイでは群生を観る事が出来ますよ。
色々な島でも観る事は出来ますが、オアフ島のプナホウ地区はその筆頭にあげられます。
何千と言う、とてつもなく物凄い数の月下美人が一同に咲く様子はまさに圧巻。
プナホウ地区の顔とも言える名門プナホウ・スクールの石垣や、夜景の名所で知られるタンタラスの丘が、月下美人の観賞名所として非常に名高く有名ですので、ご存じの方も多いと思います。
元アメリカ大統領のバラク オバマ氏や全米ナンバーワンに輝いた女子プロゴルファーのミシェル・ウィーなど著名人らが数多く卒業した事で知られるプナホウ・スクール、幼稚園から高校迄の一貫教育私立校で、ミッションスクールとしてプロテスタント教会が運営しており、その歴史は古く1841年に設立されました。
プナホウはプレップスクールとしても有名です。
進学先の大学リストはイェールやハーバード、スタンフォード、コロンビア、マサチューセッツ、カリフォルニア、バークレー等、世界ランキングでも最大難関と言われる全米屈指の名門大学、その上位が常に途絶える事なく軒並み連ねています。
スポーツも盛んでオリンピックのメダリストや世界で活躍する宇宙飛行士に政治家など幅広い分野で活躍する人材を育てている事でも世に広く知られています。
そんな名門プナホウ・スクールの広い敷地内には、ぐるりと校庭を取り囲むように石垣が積み上げられていて、その石垣はハワイの溶岩石から出来ているのですが、そこに咲き誇る月下美人、一度は是非観て欲しいと思います。
友達の娘がプナホウ・スクールの出身でしたので、彼女をお迎えに行く際に昔、一緒に同行した時などは必ず月下美人の蕾をチェックしたりしていました。
ちなみに月下美人のハワイ語名はPānini o ka PunahouPānini はサボテンと言う意味です。
直訳すると「プナホウに咲くサボテンの花」。
そうなんです、月下美人はサボテンの1種。
あのドラゴンフルーツが果実ですよ。
さて、もう一つの名所、
「タンタラスの丘」「タンタラスの夜景」で有名なタンタラスですがじつは夜景だけでなく月下美人の名所でもあります。
その先へと昇り進むと山頂付近が開けて来ます。
正式名所は、Puʻu ʻUalakaʻa State Park(プッウ ウラカッア州立公園)と言いますが、本当に絶景でホノルルを眼下に一望できる場所でもあるので、是非訪れて見て下さいね。但し、運転には十分に注意を。道はナロウです。
タンタラスの英語表記名のスペルはTantalusですが、名前の由来は英語のTantalizingから来ています。
Tnatalizingには焦れったい気持ちを表す時に使われますが、急勾配を登れども登れども一向に辿り着く事が出来ずに、先が読めない。「もうとても歯痒くて、我慢できない。焦れったいよね。」
このようなふとした会話のエピソードから、その中に出て来た「Tantalizing」と言う言葉が転訛したり、文字ったりしている内に、ついにはそこからタンタラス/Tantalusと呼ばれるようになった、と言う説がハワイでは昔から伝えれているんです。
面白いことにそれがプナホウ・スクールの生徒さん達の会話であったと言われていますよ。
ネーミングの由来は案外身近なところのごく普通の日常の中にあるのも面白く興味深いところです。
さて。
Puʻu ʻUalakaʻa State Palk(プッウ ウラカッア州立公園)のPuʻu ʻUalakaʻa はハワイ語で直訳すると、『芋が次々に転げ落ちる急勾配の高い丘』と言う意味になるんです。ʻUala (ウアラ)と言う、一種のさつま芋のようなお芋があって、それを育てて食す習慣がハワイには大昔からありました。
タロ芋と同様にハワイアンにとって大切な主食源になっていました。
タンタラスの山頂付近には噴火の火口跡地の堆積養分が豊富で、ʻUala (ウアラ)を育てるのに最適であると考えられていました。
かの有名なKamehameha大王がʻUalaの栽培を始めさせて、その跡地である為、この名前が地名に付けられたと言う簡単なエピソードが公園敷地内のインフォメーションにも書かれていますよ。(英語のみ)
ですが、あまりにも急勾配過ぎて、その芋すらゴロゴロ、ゴロゴロと巻かれるように転がり落ちてゆく、
恐らくこんな所からその名前が付いたのだと思います。
kaʻa(カッア)は巻かれる、グルグルごろごろ回る、回転する等の意味があります。
puʻu (プッウ)はとても高い丘を意味しています。
久しぶりのハワイアン・フォト&エッセイのコラムになりましたが、如何でしたでしょうか。
また、色々お届けできるよう、あまり極端に間を開けずに発信できたらなと思いますので応援も宜しくお願いします。
ハワイの自然や植物にご興味をお持ちの方、ハワイの神話や伝説、諺や格言、
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土地や山々、海、池、川、地帯などハワイ語の解説や意味を交えながらコラムをお届けし、フラをなさる方々、レイをお作りになれる方々、ハワイアンキルトをなさる方々、ウクレレをなさる方々、そうではないけれどもハワイがお好きだったり、自然がお好きな方々にお贈りするフォト&エッセイとして、以前の公式サイトと同様にこれから少しずつ書き綴っていけれたらと存じます。今、型紙の作業に追われているのですが、聞きたいお話しなどがあればリクエストも順にお受けします。
Hawaiian Photo & Essay "Hoʻomanaʻo"のハワイ・コラム、
今回は『Pānini o ka Punahou 』、月花美人をお届け致しました。
この月下美人に合わせて同日にInstagramの公式アカウントでは月下美人をモチーフにしたハワイアンキルトのお作品のご紹介と、こちらとはまた違うショットで撮影した月下美人の花をupしましたので是非、そちらと合わせてご覧下さいませ。
リンクも貼っておきますね。
https://www.instagram.com/p/Cu8bMJGJGBz/?igshid=Y2I2MzMwZWM3ZA==
それでは、また。
Mahalo nui,
A hui hou!